2026年3月15日 飯能キリスト聖園教会 礼拝説教要約(若井和生師)
東日本大震災から15年の月日が経ちました。この15年の間にも自然災害は何度も繰り返され、コロナ・パンデミックがあり、戦争も始まり、悲しいことがたくさんありました。しかし、もっと悲しむべきことが他にあるとイエス様は今日の箇所で教えておられます。
【1】 クレネ人シモン
死刑判決を受けたイエス様は十字架を背負わされ、自らが処刑されるゴルゴダの丘まで歩いていくことになりました。イエス様は前の晩に一睡もされていません。さらにローマ兵に鞭で何度も撃たれ、身体は傷だらけの状態でした。とても十字架を担いで歩くことのできるような状態ではありませんでした。そこで人々はイエス様を引いて行く途中、田舎から出て来たクレネ人のシモンという男を捕まえて、彼に十字架を背負わせたのです。
シモンは過越の祭りを祝うために北アフリカのクレネからこの時、エルサレムにやって来ていたと考えられます。たまたまそこで十字架を担いで歩くイエス様と遭遇し、そして自ら十字架を担うことになりました。
マルコの福音書15章21節には「兵士たちは、通りかかったクレネ人シモンという人に、イエスの十字架を無理やり背負わせた」と記されてあります。シモンはローマ兵たちによって、十字架を無理やり背負わされたのです。
ただし、その箇所にはシモンについて「彼はアレクサンドロとルフォスの父で、田舎から来ていた」と記されてあります。またパウロはローマ人への手紙の最後の箇所で「主にあって選ばれたルフォスによろしく(ローマ16:13)」と挨拶のことばを送っています。このルフォスが、クレネ人シモンの息子だったルフォスではないか、と考えられています。
「主にあって選ばれたルフォス」の選びとは、彼の父の時から始まっていたのではないでしょうか。シモンはイエス様の担いだ十字架を自ら担ぐために選ばれた世界で唯一の人物です。イエス様と同じ苦しみを担う中でイエス様と出会い、信じる者とされたのではなかったでしょうか。そして、その信仰が息子のルフォスにまで引き継がれたのではなかったでしょうか。
神様の救いのみわざはどこから始まるか、私たちにはわかりません。神様はご自身の救いのみわざのために、苦しみさえ用いられるのです。
【2】 誰のために泣くのか
ゴルゴダの丘まで歩くイエス様の後を、多くの女性たちが嘆き悲しみながらついていきました。イエス様がもうすぐ、殺されてしまうからです。そんな彼女たちにイエス様は振り向いて 言われました。「エルサレムの娘たち、わたしのために泣いてはいけません。むしろ自分自身と、自分の子どもたちのために泣きなさい(28)。」
なぜ自分と自分の子どもたちのために泣く必要があるのでしょうか。それは、「不妊の女、子を産んだことのない胎、飲ませたことのない乳房は幸いだ」と言う日が来るからです。その日に人々は山々や丘に向かって「私たちの上に崩れ落ちよ、私たちをおおえ」と言い始めます。それは人間の想定と想像を遥かに超える程の悲劇的な日です。
そしてイエス様は「生木にこのようなことが行われるなら、枯れ木には、いったい何が起こるのでしょうか(31)」と言われました。「生木」とはイエス様を、「枯れ木」とは神を知らない人々のことを表します。イエス様はこれから十字架にはりつけにされて恐ろしい神のさばきを経験します。しかし、やがて「枯れ木」にもたらされるさばきは、それよりもはるかに恐ろしいさばきであると、イエス様はここでお語りになっているのです。
【3】 さばきの日
このイエス様のことばは近未来としては、期限70年のエルサレム陥落によって実現しました。その日、女や子どもたちを含む多くの人々が殺されたのです。まさに「不妊の女、子どものいない女の方が幸いだ」と呼べる事態が発生したのです。
同時にこれは、この世の最後にやって来る神のさばきの日の到来を預言しています。その日には人々が山々や岩に向かって「私たちの上に崩れ落ちて、神の御怒りから私たちを隠してくれ」と言います。神と子羊の御怒りの激しさに、耐えられる人は誰もいないからです。(黙示録6:17〜18)
私たちは多くの自然災害を通して、「自然の脅威」を身近に感じることができるようになりました。しかし、その日に私たちを襲う脅威は、それとは比較もできないくらい恐ろしい脅威です。神が、神を知らない人々に報復されるからです(IIテサロニケ1:8)。
【4】 今、しなければならないこと
悲しみに満ちる今の時代にあって私たちが覚えるべきこと、それはさらに大きな悲しみがやがてやって来ると言うことです。主の私たちに対するみこころはどこにあるでしょうか。私たちは今、何をするべきでしょうか。それは福音を伝えることではないでしょうか。そのような大きな悲しみに勝る喜びと希望が用意されていることを、人々に伝えることではないでしょうか。