彼が神に信頼していたからである           ダニエル書6章11~28節

2025年2月2日 飯能キリスト聖園教会 主日礼拝説教要約(若井和生師)

 「王以外、いかなる神にも人にも祈願する者は、だれでも獅子の穴に投げ込まれる」との法令が発令された後も、ダニエルは変わらずに真の神に祈り続けました。ダニエルはその後、どうなったでしょうか。

【1】 ダレイオス王の祈り
 ダニエルが続けて神に祈っている姿は、大臣や太守たちに目撃されてしまいます(11)。彼らは王にその事実を伝えました。王はその時に初めて気づいたのです。これがダニエルをおとしめるための陰謀であることを。
 そのことを聞いて王は非常に憂い、ダニエルを救おうと気遣い、実際に彼を助け出そうと日没まで努力しました(14)。部下たちの表面的な従順の裏に恐ろしい陰謀と策略が隠されていることを、王は見抜けませんでした。自分の判断の誤りによって今、ダニエルという優秀な部下が殺されそうになっています。王は責任を痛感し、自らを責めたことでしょう。それゆえにダニエルを必死になって救おうと努力したのです。
 その努力は部下たちによってしっかりと阻まれてしまいました。一度発令された法律は、王であっても取り消すことは不可能だったのです。王は仕方なく命令を出し、その結果、ダニエルは獅子の穴に投げ込まれることになりました。
 注目したいのはその際に王がダニエルに話しかけたことばです。「おまえがいつも仕えている神が、おまえをお救いになるように。」 王はここで祈っています。自分が信じてきたところの異教の神ではなく、ダニエルの神がダニエルを救ってくださるようにと祈っているのです。
 危機的な状況の中にあって本当に信頼できる神は誰なのか、王はダニエルの信仰の証しを通して知らされました。危機的な状況の中でこそ、真実な神が明らかにされるのです。

【2】 神への信頼
 獅子の穴に投げ込まれてしまったダニエルは、どうなったでしょうか。翌朝獅子の穴へ駆け付けた王がダニエルに呼びかけると、何とダニエルが答えました。ダニエルは獅子に食べられることなく、生きていたのです。
 なぜこのような奇跡が起こったのでしょうか。その理由についてダニエルは「それは、神の前に私が潔白であることが認められたからです」と告白しています(22)。ダニエルはこのような緊急事態の中にあって神に対しても、人に対しても罪を犯しませんでした。それが神に認められたことがわかります。
 同時に聖書はもう一つの理由も私たちに告げています。「ダニエルは穴から引き上げられたが、彼に何の傷も認められなかった。彼が神に信頼していたからである(23)。」 ここにもう一つの奇跡が示されています。それはこのような状況の中にあって、ダニエルが神を信頼できたことです。獅子の穴の中にあってダニエルのいのちが守られたことも奇跡でしたが、それはダニエルが神に信頼できたという、もう一つの奇跡の結果だったのです。
 私たちはこのような厳しい試練の中にあって果たしてダニエルのように、神に信頼できるでしょうか。神に忠実に仕えて来たのに、その結果として敵の陰謀に巻き込まれ、法律でさばかれ、獅子の穴に投げ込まれるという展開を受けて、私たちは本当に神に信頼できるのでしょうか。信頼できるとすれば、そのこと自体が奇跡ではないでしょうか。
 ダニエルはこの状況をどのように受け止めたのでしょうか。ダニエルが捕えられる前に、ダニエルは神に祈り求め、哀願していたことがわかります(11)。祈りの内に感謝をささげていた彼が、その後、心を注ぎだして祈り、神の助けを切に求めていたのです。その祈りのうちに神の確かな平安をいただき、彼は神を信頼する者へと変えられたのです。

【3】 試練の意味
 その後、ダニエルを中傷した者たちが連れて来られて、獅子の穴に投げ込まれると、すぐに獅子の餌食にされてしまいました。その後、ダレイオス王は全土に住むすべての人々に宣告しました。「私の支配する国においてはどこででも、ダニエルの神の前に震えおののけ(26)。」 そしてダニエルの信じる生ける神を賛美しました。
 さらにダニエルは、ダレイオスの治世とさらにその次のペルシア人キュロスの治世にまで栄えました。神がダニエルの信仰に応えて、彼の晩年を祝福してくださったことがわかります。
 6章における出来事はダニエルが自らの生涯の中で経験した最大の試練でした。しかし、この試練を通して、神の栄光が表され、ダニエルの信仰は養われ、何よりもダレイオス王が神を賛美する者に変えられました。神が試練の時を恵みの時に変えてくださったのです。
 私たちにも時々、試練の時が与えられます。神に一生懸命仕えてきたのに、なぜこのような厳しい試練が課せられるのかと、私たちも戸惑ったり、悩んだり、苦しんだりする時があります。しかし神はその中で必ず私たちを養い、試練の時を恵みの時に変えてくださいます。
 大切なことは私たちが心を注ぎだして祈ること、そして主に信頼することです。私たちの思いを越えてみわざをなされる神に向かって、心を開きましょう。