イザヤ書23章

イザヤ23          ツロに対する宣告                         

 イザヤの諸外国に対する一連の裁きの警告(13-23章) はバビロンから始まりツロに対するもので終わる。これは大雑把に言うと東から西までと言えるが、さらにツロ、フェニキヤが世界の交流の拠点であったことを思い起こすと、神の言葉が全世界に向けられたものであることを思い知らされます。この章の表題がツロなのにエジプト、キプロス、シドン、タルシシュと地中海の主要な沿岸都市を含んでいる理由が此処にあると思う。

ツ ロ の 滅 亡 

 ツロはフェニキヤと共に世界貿易で栄えた都市です。紀元前8世紀には地中海諸国に植民地を持ち(キプロス、ギリシャ、北アフリカ、マルタ、シチリア、スペイン)。ギリシャ人にアルファベットを伝えたのもフェニキヤ人でした。

『タルシシュの船よ』タルシシュとはスペイン南部の港町だが地の果ての意味を持ち「タルシシュ船団」と言う言葉も生まれている(・列王10:22,22:48-23、この経営にソロモンは成功したがヨシャパテは失敗している)。(イザヤ66:19-も参照)

『ツロは荒らされて・・・』船団ばかりでなく、港も家もツロは難攻不落の都市ではあったが、アッシリヤのセナケリブに侵略(705-701年) され、エサルハドンにも再び侵略した。ネブカデネザルは13年間包囲したが征服できず。されど不滅の都市はなく、後日ペルシャに落とされ(343年) アレクサンダーにも征服された(332年)。人間の築く栄光は必ず崩れさる。神の都の他に永遠の都はありません。『キティム』はキプロスの首都キティオンから

エジプトの苦しみ』とは何か?アッシリヤの征服の手がツロまで及んだことに対する恐れ。

『その起こりは古く』ツロとエジプトの貿易は紀元前3千年に逆上ると言われる。

ツ ロ の 回 復 

『70年』これはエレミヤの預言で知られる年月だが、エレミヤより先にイザヤが用いたことが伺える。7も10も共に聖と完全を表現する数字として読むことが可。ツロは再び解放されて賑わいを戻す。「遊女の歌」は痛烈な批判。ツロの繁栄は遊女の繁栄としてと見ることも出来る。

『主はツロを顧み』神の許し無しには回復も繁栄も成しえず。されど、ツロには神をほめたたえる歌も心もあらず。

『遊女の報酬』と呼ばれるツロの繁栄貿易黒字国、日本。汝の富を神は何と呼ばれるのか?18節は痛烈な皮肉だが、単に皮肉に止まりません。

『あなた方が早く起きるのも、おそく休むのも、辛苦の糧を食べるのも、それはむなしい』(詩篇127:2)のです。営々として積み上げた物が自分の為にならない事例は、枚挙にいとまがない。 神が賜る能力やチャンスが謙虚に用いられ、神に栄光を帰し人々に福祉をもたらさなければ、自分の為にもなりません。