あなたの母と父を恐れなければならない レビ記19章1~8節

2020年9月6日 飯能キリスト聖園教会 礼拝説教要約(若井和生 師)

【序】聖なる者となる
 「終わりの日には困難な時代が来ることを、承知していなさい。そのときに人々は、自分だけを愛し、金銭を愛し、大言壮語し、高ぶり、神を冒涜し、両親に従わず、恩知らずで、汚れた者になります。(Ⅰテモテ3の1)」 パンデミックと呼ばれるコロナ・ウィルスの世界的流行を経て、世の中はますます、聖書の預言通りになっているのではないか、と感じさせられます。その中にあって教会のきよさが今、どんなに求められているでしょうか。

【1】 母と父を恐れる
 「あなたがたは聖なる者でなければならない。あなたがの神、主であるわたしが聖だからである。(1)」 レビ記で何度か繰り返されるみことばが、ここでも再度語られています。聖なる神の前で、私たちも聖なる者となることが求められています。
 しかし「聖である」とは一体どういうことなのでしょうか。それは観念的、精神的なことではありません。私たちの生活に密着した極めて具体的なことです。このみことばに続く掟(おきて)の数々は、私たちの聖い生活について教えています。
 第一番目に、「①自分の母と父を恐れなければならない」と命じられています(3)。さらに②安息日を守ること(3)、③偶像礼拝の禁止(4)、④交わりのいけにえを主に献げること(5~8)が続いていきます。これらのつながりを見る時に十戒の順番を逆にしたかたちで命じられているし、結果的に、十戒のよき解説になっていることにも気づかされるのです。
 私たちの目標は神を恐れることです。そのために第一にしなければならないことは何でしょうか。それは自分の両親を恐れることです。人がこの世で最初に出会う権威は、親の権威です。そしてすべての権威は神から来ています(ローマ13の1)。人は親を敬うことによって、神を敬う者になります。親の権威を軽んじる者は、神を敬うこともできず、結果的に神の祝福から断ち切られるのです。(箴言30の17)
 しかも、レビ記において興味深いのは、父よりも先に母を恐れるように命じられていることです。当時の父系社会の中にあって、父親の権威は絶対でした。しかし妻は夫に従属する立場に置かれ、母親の権威は子どもたちに軽んじられやすかったのです。聖書はそれを禁じているのです。
 これは人間的な理由で親の権威が軽んじられることがあってはいけない、ということです。父や母が親であることのゆえに、親は尊敬される必要があります。それが私たちにとって、神に従うための第一歩なのです。
 
【2】 神を恐れる
 その次に安息日を守ることが命じられています。安息日を聖別して私たちは初めて神と出会うことができます。さらに三番目には、偶像の神々に心を移してはならないし、偶像を造ってもならない、ということが命じられています。偶像とは私たちの神との交わりを阻害するものです。とりわけ、イスラエルの民にとってそれは大きな誘惑でした。これから入植するカナンの地が異教世界であり、様々な偶像礼拝が盛んだったからです。
 このような順番を経て四番目に交わりのいけにえを、主の示される方法によって献げるようにと、命じられています。民は交わりのいけにえによって、罪赦されて神との親しい交わりに加えられた恵みを味わうことができました。①~③がすべて、④に到達するための準備であり、ステップになっていることがわかります。私たちのゴールは神と親しく交わることです。神様もそのことを求めておられます。そのために私たちはまず自分の親を恐れ、安息日を聖別し、そして、偶像を排除する必要があるのです。

【3】 家庭から始まる祝福
 今日の個所を振り返ってみた時に、神との豊かな交わりは家庭から始まることに気づかされます。教会から祝福が家庭にもたらされる流れと、逆に、家庭から教会へと祝福がもたらされるもう一つの流れがあることに私たちは気づかされます。教会で神と交わり、神によって家庭に遣わされていく私たち。そこで、夫が妻を愛し、妻は夫に仕え、子どもたちは親を敬う。そのように家族が清められていく時に、実は私たちの神様との交わりが祝福されていきます。私たちの信仰の歩みは私たちの足元、家庭から始まるのです。
 イエス様はかつて、悪霊につかれた人の悪霊を追い出された後、その人に向かって命じられました。「あなたの家、あなたの家族のところに帰りなさい。そして、主があなたに、どんなに大きなことをして下さったか、どんなにあわれんでくださったかを知らせなさい」(マルコ5の19)。神様は信仰者の家庭を必ず祝福して下さいます。そのために私たちは家庭に遣わされていくのです。このみことばをもって、私たちも家庭に遣わされていきましょう。そこで夫として、妻として、親として、子どもとしての責任を神の前に果たしていきましょう。

【祈り】
 私たちの家庭を神の祝福の場として下さい。