神が私たちの味方 ローマ人への手紙8章31~32節

2020年6月7日 飯能キリスト聖園教会 礼拝説教要約(若井和生 師)

【1】 神が私たちの味方:その根拠① 神の定め
 ローマ8章のそれまでのメッセージを受けて、パウロは遂に31節で声高らかに主張しました。

「神が私たちの味方であるなら、だれが私たちに敵対できるでしょう。(31)」

 これはもちろん「神が私たちの味方です! 誰も私たちに敵対できません!」という主張です。何と力強い、何とありがたい主張でしょうか。そんなみことばに励まされながら、それでも私たちは少し不安になってしまいます。なぜなら、実際の私たちは、たくさんの敵に取り囲まれているように感じるからです。私たちの内側にある罪の性質、この世の悪の存在、信仰者ゆえに受ける迫害、霊的なサタンの攻撃、そしてやがてやって来る死の現実…。私たちは実に多くの敵と敵対しているのではないでしょうか。その中にあって「だれが私たちに敵対できるでしょう」などと豪語できる根拠は、どこにあるのでしょうか。
 もちろんパウロはここで根拠のない空論を言い放っているのではありません。根拠に基づいて語っています。31節の冒頭で「では、これらのことについて、どのように言えるでしょうか」と語っています。これは「今まで語ってきたことの結論を一言で言い表すと、どんなことが言えるでしょう」という意味のことばです。つまり「神が私たちの味方である」という主張の根拠は、その前の箇所、29~30節に記されています。31節の力強いメッセージは、29~30節でパウロが教えてきたことの結論なのです。
 29~30節でパウロは神について五つのことを教えました。神は私たちを、①あらかじめ知っていたこと、②あらかじめ定められたこと、③召し出して下さったこと、④義と認めて下さったこと、そして⑤栄光をお与えになったこと、つまり過去から未来に至るまで、私たちの全存在が神の救いの計画の中に置かれている、ということです。さらに①から⑤まで、神の私たちに対する救いのご計画は途切れることなく、綿々と続いていきます。誰もこの連続を断ち切ることができません。
これが、神が私たちの味方であることの根拠です。この事実を私たちはあまりにも知らなすぎるのではないでしょうか。そのために、私たちはすぐに自信を失い、失望し、信仰者なのに敗北を繰り返してしまいます。私たちは私たちの信仰を、私たちを主語にして考えるべきではありません。神を主語にして考えましょう。神が、私たちの中で行われているみわざに注目する時、この方が私たちの味方であることを私たちはハッキリと確信するのです。

【2】 神が私たちの味方:その根拠② 神の愛
 31節のメッセージはとても素晴らしいために、実感をもって受け止められないということが、私たちにはあるかもしれません。そんな私たちがさらに納得できるように、パウロは32節へと話を進めています。
 32節でパウロが主張していることは何でしょうか。「神がどのような方で、どのようなことを私たちにして下さったかを考えなさい」ということです。神は私たちすべてのために、ご自分の御子さえも惜しむことなく死に渡されました。ご自分の最も大切な一人子イエス様を惜しむことなく死に渡されたとは、それだけ私たちを愛して下さった、ということです。
 その方が、イエス様を私たちに下さった途端にケチになられるということが果たしてあるのでしょうか。あり得ません。私たちにイエス様を下さった神様なら、イエス様とともにすべてのものを、私たちに恵んで下さいます。神の愛は決して変わりません。過去に大きな愛を示して下さった神様は、今も、これからもずっと私たちを愛し続け、すべてのものを恵んで下さるのです。
 人間の親でも子どもを愛し続けます。子どもがどんなに問題を抱えても、皆から嫌われる問題児であったとしても、それでも親は子どもを愛し続けます。人間の親でもそうです。ましてや天の父なる神の愛は私たちを必ず愛し続けるのです。
 私たちの神は、天におられる父なる神です。しかも、実に気前のいい父です。私たちの救いに必要なものを惜しみなく恵んで下さいます。救われた私たちのその救いを、必ず完成に導いて下さいます。その事実に私たちの思いを向ける時、神が私たちの味方であること、この方がおられるからこそ誰も私たちに敵対できないことが、よくわかるのではないでしょうか。

【3】 結び
 皆さんの子どもたちがクラスでいじめられたとしても、皆さんはきっと、子どもたちの味方をすることでしょう。父なる神様も同じです。この方は、問題だらけに見える私たちに最後まで味方して下さるのです。それゆえに誰も私たちに敵対できないのです。この真理をもっともっと信じようではありませんか。そして、この方の大きな愛に喜んで応えて歩んでいきましょう。

【祈り】
 あなたがいつも私の味方でいて下さることを感謝します。その事実を、普段の歩みの中で、もっともっと知ることができますように助け導いてください。