2020年６月21日 飯能キリスト聖園教会 礼拝説教要約（若井和生 師）
ローマ人への手紙８章の後半に入り、パウロの気持ちの高まりを感じさせます。パウロは繰り返し問いかけました。「だれが私たちに敵対できるでしょう。（31）」「だれが神に選ばれた者たちを訴えるのですか。（32）」「だれが、私たちを罪ありとするのですか。（33）」 私たちが経験する多くの闘いを意識した上で、それはあり得ないことです、と力強く主張しています。このような語り口の中に、パウロのたたみかけるような勢いと迫りを私たちは感じさせられます。
その上でパウロは今日の箇所でさらに問いかけました。「だれが、私たちをキリストの愛から引き離すのですか。」
【１】 キリストの愛
パウロの話は結論部分の中の、さらに結論に達しつつあります。「だれが、私たちをキリストの愛から引き離すのか」。その問いの答えは、だれも引き離すことはできない。そして、私たちが圧倒的勝利者である、ということです。
私たちの闘いは防戦一方ではありません。薄氷の勝利でもありません。圧倒的勝利です。「圧倒的勝利者」と聞いて皆さんは誰を思い出すでしょうか。私はマイク・タイソンやモハメド・アリなどの往年の最強ボクサーたちを思い出しました。確かに「圧倒的勝利者」という感じですが、平和を愛する私たちキリスト者のイメージにはあまり合わないように感じます。
もちろん私たちは腕力や武力、学力、知力、経済力、軍事力などの人間的な力によって圧倒的勝利者になるのではありません。罪やサタン、死と言った私たちの救いを阻もうとするものに対し、信仰によって圧倒的な勝利者となります。単なる勝利ではありません。圧倒的勝利です。私たちを苦しめるこれらの敵たちに対して、私たちは完全勝利を宣言することができるのです。
その根拠は何でしょうか。それはキリストの愛です。「わたしたちを愛して下さった方によって（37）」私たちは圧倒的勝利者となります。キリストの愛については前回学びました。キリストは私たちのために死んでくださり、よみがえって下さり、そして今も神の右の座に着き、私たちのためにとりなしてくださっています（34）。キリストの愛は大きな愛です。罪人である私たちのために死んで下さった程大きな愛です。そして、キリストの愛は変わらない愛です。昔も今もこれからも変わることなく継続的に注がれ続ける愛です。そして、罪・サタン・死に勝利できる強い愛です。
このキリストの愛のゆえに私たちは圧倒的勝利者となります。これが、私たちが勝利を宣言できる根拠です。
【２】 キリストのみわざ
ところが実際には私たちはキリストの愛がわからなくなる時があります。キリストによる勝利を確信できなくなる時があります。太陽の光を厚い雨雲が覆い隠してしまうように、私たちの直面する様々な困難がキリストの愛の光を遮ってしまうのです。
パウロが35節で提示しているものは、そのようにしてキリストの愛を阻んでしまうものです。苦難、苦悩、迫害、飢え、裸、危険、剣…。このような多くの困難が私たちの前に立ちはだかり、私たちをキリストの愛から遠ざけてしまうのです。
ここでパウロが提示したリストは実はパウロ自身がその時、経験していた困難でした。パウロは確かに苦難、苦悩、迫害、飢え、裸、危険、剣…と言った困難を経験してきました。しかし、苦しめば苦しむ程、キリストの愛が迫ってきたのです。
パウロは36節にて詩篇44篇22節のみことばを引用しています。このみことばを引用することで、古の詩篇の著者とも同じ苦しみを共有していたことがわかります。この詩篇の著者のようにパウロも死の危険を意識していました。そんな自分が礼拝の時に屠られる子羊のように感じられていました。しかし、その苦しみの中にも主はともにおられました。
「屠られる子羊」とはイエス様のことを表しています。イエス様はその苦しみによって私たちに対する大きな愛を表して下さいました。よってパウロの苦しみの中に、キリストの愛が迫ってきたのです。
【３】 結び
聖書が約束する救いとは、苦しみの中からの救いではありません。苦しみの中にある救いです。私たちの生活の中にも大小様々な苦しみがあります。しかし、その中に実は勝利があります。キリストの愛から私たちを引き離すものは何もありません。この愛のゆえに私たちは圧倒的勝利者となります。
どうか日々直面させられる様々な困難のために、私たちの目が曇らされてしまうことがありませんように。私たちにいつも注がれているキリストの愛を信仰をもって絶えず見続けることができますように。そして聖書のみことばに支えられながら、圧倒的勝利者となれますように、日々祈ろうではありませんか。
【祈り】
日々の困難のゆえにキリストの愛を疑ってしまうことがありませんように。罪とサタンと死との戦いにて、日々勝利を経験できますように助けてください。