約束の聖霊             使徒の働き1章1~11節

2021年5月2日 飯能キリスト聖園教会 礼拝説教要約(若井和生師)

 十字架と復活を経験されたイエス様は40日間、弟子たちにご自分を現わされ、そして天に帰っていかれました。しかし、その代わりに聖霊なる神様を弟子たちに送って下さいました。聖霊を送ることは、父なる神様の約束だったのです(ヨハネ14の16)。なぜ聖霊が必要だったのでしょうか。

【1】 聖霊によってもたらされる神の国
 イエス様が地上に来られて何が始まったのでしょうか。神の国の建設が始まりました。使徒の働きの著者であるルカは、「前の書」であるルカの福音書にて、イエス様が行い始め、教え始められたすべてのことについて書き記しました(1)。それは一言で言うならば、神の国の建設についてです。復活されたイエス様は40日にわたって弟子たちに現れ、神の国のことを語られました(3)。イエス様によって始められたその働きは、今や、弟子たちに委ねられたことがわかります。
 そのために必要だったのが聖霊なる神様でした。使徒行伝は「聖霊行伝」とも呼ばれていて、聖霊に満たされた弟子たちが神の国を建設していく様子が記されています。主人公は弟子たちではなく、聖霊なる神様なのです。
 聖霊の働きはその後も継続され、全世界に福音が伝えられ、神の国が全世界に拡大していきました。そのお働きは今も継続中です。聖霊に満たされた人々によってこの働きは担われ、力強く展開していくのです。
 
【2】 弟子たちが変えられることによって
 それでは、この神の国はどのようにもたらされたのでしょうか。第一に、聖霊によって変えられた弟子たちによってもたらされました。約束の聖霊が与えられることをイエス様から教えられた時、弟子たちは6節でこのように言いました。

「主よ。イスラエルのために国を再興してくださるのは、この時なのですか。」

 弟子たちは神の国について、歪んだ先入観をもっていたことがわかります。第一に彼らは神の国とは「イスラエルのため」の国だと思っていました。神の国とは世界中に広がっていく神の支配なのに、弟子たちは自分たちの利益だけを考えていました。
 二番目に彼らはイエス様が自分たちの国を「再興してくださる」と、期待していました。かつてのダビデやソロモンの時代の繁栄を取り戻したかったのです。三番目に彼らは「この時」にそのことが起こることを期待しました。目に見えるかたちで結果がすぐに見たかったのです。このような彼らの先入観のゆえに、弟子たちは神の国について全く理解できていなかったのです。
 弟子たちはイエス様の十字架と復活を経験した後でさえも、自分たちの利益と願望にそってでしか、神様のご計画を見ることができませんでした。信仰者であっても古い性質にとらわれやすい私たちの姿をよく表しています。
 しかし、聖霊なる神様が来ることによって弟子たちは砕かれ、清められ、整えられていきました。聖霊の導きの中で神の国建設の働きは彼ら自身の働きではなく、まさに主の働きとされていったのです。

【3】 弟子たちが力を受けることによって
 二番目に聖霊によって強められた弟子たちによって、神の国はもたらされました。「聖霊があなたがたの上に臨むとき、あなたがたは力を受ける」とイエス様は弟子たちに語られました。その力とは、イエス・キリストの証人となるための力、つまり主を証しするための力であったことがわかります。
 この後、聖霊に満たされた弟子たちは力強くイエス様を証しする人に変えられていきます。ことばでイエス様を証しし、同時に、その生き様を通してもイエス様を証ししたのです。その結果、福音はエルサレムからユダヤ、サマリヤ、さらに当時、地の果てと見なされていたローマにさえも届けられました。このように聖霊に満たされた弟子たちによって福音が世界中に広がり、神の国が全世界に拡大していったのです。

【4】 待つこと
 ただし、弟子たちが聖霊を受けるために求められたことが一つありました。それは「待つ」ことです。イエス様は彼らに「エルサレムを離れないで、わたしから聞いた父の約束を待ちなさい」と命じられました。聖霊に満たされるために必要な準備、それが待つことだったのです。
 私たちの多くにとっての切実な課題は、待つことができない、ということです。それゆえに聖霊に満たされることがなく、神の力ではなく自分の力で動き回ってしまい、疲れ果てたり、結果に振り回されたりします。よく準備された者だけが、主の前でよい働きをするのです。
 動き始める前にまず待ちましょう。みことばと祈りの内に静まりましょう。聖霊なる神様は私たちを内側から清め、強めて下さいます。自分の努力や衝動によってではなく、みことばに力によって励まされ、導かれるまで待つ時間を大切にしましょう。そのようにして、整えられて、主の働きに邁進していく者でありたいと思います。