いつも主にあって喜びなさい ピリピ人への手紙4章4~7節

2020年5月10日 飯能キリスト聖園教会 礼拝説教要約(若井 和生 師)

 コロナウィルスの感染が拡がっているのに、検査体制は未だに十分に整えられていないようです。そのような中にあって、緊急事態宣言が発令されました。そんな政府や行政の政策と、私たちの中にある不安とが密接につながって、感染した人々を排除したり、互いに疑心暗鬼になってしまったりという現象が各地に起こっているようです。恐ろしいのはウィルスよりも、人の心の方です。私たちの心がイエス・キリストにある喜びと平安でいっぱいになるように、心がけなければなりません。

【1】 主にある喜び
 パウロはピリピ書4章の中で「いつも主にあって喜びなさい。もう一度言います。喜びなさい(4)」とピリピの教会の信徒たちに命じました。「喜べ」という命令を二回繰り返しています。いつも喜ぶなんて、ほとんど不可能な注文のように私たちには感じられます。でも、これがピリピ書のテーマです。ピリピ書は「喜びの手紙」と呼ばれるくらい、パウロはこの手紙の中で喜ぶことの大切さを繰り返し教えています。
 「作り笑い」ということばがあるくらいで、私たちは「笑い」を自分の力で作り出すことができるでしょう。しかし「喜び」は作り出すことができません。これはまさに「主にあって」の喜びです。神様が私たちの内に造り出してくださるものです。つまり、これは与えられる喜びなのです。
 この喜びが与えられると極端な言い方をすれば、苦しみの時にも喜びがあります。落胆している時にも喜びがあります。嵐で海の表面は荒れていても、海底はいつも穏やかであるように、心の深いところに変わらない喜びがあるのです。
 パウロの生涯がそのことを証明しています。パウロはこの時、投獄されていました。自由に伝道ができないだけでなく、このまま処刑されてしまうかもしれません。ところがパウロは悲しむどころか、そのことで兄弟たちがますます大胆になり、自分の投獄が福音の前進に役立ったことを喜んでいるのです。(1章12~14節)。そして、ますますイエス様のことを身近に感じています。
 私たちは主にあって喜ぶことができます。むしろ「喜びなさい」と命じられています。これは、主イエス・キリストとの親しい関係の中に歩みなさい、そして私たちの心を主にある喜びでいっぱいにしなさい、という命令です。必要なのはイエス様との継続的なお付き合いです。この主イエスとの生きた交わりの中で歩む時、私たちはいつも喜ぶことができます。涙と苦難の歩みの中にも、この喜びがあるのです。

【2】 主にある平安
 主にある喜びは、主にある平安を私たちの内に造り出していきます。パウロは続けて「何も思い煩うな」と命じています(6)。「思い煩うな」と言われて、きっぱりと思い煩いを断ち切れる人は、あまりいないように思います。あれこれと心配事の絶えない私たちです。コロナ危機下にある現在はとりわけ、たくさんの思い煩いが私たちの内にあります。
 しかし、思い煩いを止める方法が次に示されています。それは「あらゆる場合に、感謝をもってささげる祈りと願いによって、あなたがたの願い事を神に知っていただく」ことです。つまり、そのような思い煩いのすべてを父なる神様に打ち明けて、知っていただくということです。
 ここで大事なのは「あらゆる場合に」そうすることです。これは大きな問題に苦悩する時でも、小さい事柄に心を煩わせる時にも、一つ一つの課題を神に知ってもらうことです。大きい問題に関しては助けを求めることがあっても、些細だと感じられることに関しては、なかなか祈ることに乏しい私たちではないでしょうか。すべての機会に主に相談し、信頼することの大切さが教えられています。
 その時に「すべての理解を超えた神の平安が」私たちの「心と思いをキリスト・イエスにあって守ってくれます(7)」。私たちは普通、自分の理解を超えたことを嫌います。すべてを自分の理解の中にとどめておかないと安心できません。それゆえに理解を超えた出来事に遭遇すると、途端に不安になってしまうのです。
 本当の平安は実は私たちの理解を超えたところにあります。それは全知全能の神様から与えられる平安です。その平安に包まれる時に、私たちの心と思いはキリスト・イエスにあって守られます。この地上での苦難と十字架と復活を経験された主が、私たちのすぐそばにおられるのです。

 私たちはいつも喜んでいるでしょうか。私たちの心に平安はあるでしょうか。それは、私たちが主イエスとの確かな関係を築いているのか、そして本当に救われているのか、という大事な問いかけです。今、私たちはそれを確認するとても大切な時を与えられているのではないでしょうか。
 主イエスとの親しい関係の中に歩んでいきましょう。与えられた恵みに感謝し、主にある喜びと平安をもって歩んでまいりましょう。

【祈り】
 私たちのすべての思い煩いを主が知って下さる恵みに感謝します。どうか、主にある喜びと平安によって私たちを満たしてください。