秘密を明らかにされる神            ダニエル書2章24~49節

2024年10月13日 飯能キリスト聖園教会 主日礼拝説教要約(若井和生師)

 自分の見た夢を解き明かせる者が誰もいないことを知った時、バビロンの王ネブカドネツァルはたけり狂い、すべてのバビロンの知者を殺害する命令をくだしました。その中にはダニエルと彼の三人の仲間たちも含まれています。ダニエルは事情を把握し、王の下に駆け付け、しばしの時間を確保しました。その後彼ら四人は必死に祈りました。すると神は夜の幻のうちに、この秘密をダニエルに明らかにしてくださったのです。その時ダニエルは神を賛美しました。

【1】 謙遜なダニエル
 ダニエルがネブカドネツァルの前に連れて来られた時、王はダニエルに「私が見た夢とその意味を、本当に私に告げることができるのか」と問いかけました。それに対してダニエルは、王が求めている秘密を示すことはバビロンの知者たちにはできないことを伝え、その上でこのように話しました。

「しかし天に秘密を明らかにするひとりの神がおられます。(28)」

 王の見た夢の意味を明らかにされるのは神ご自身であり、神がその秘密を王にお示しになられること、決して自分に知恵があるからではないことをダニエルは王に伝えたのでした。
 ここにダニエルの謙遜が表されています。ダニエルは謙遜な振りをしたわけでも、権力者にへつらったわけでもありません。神の偉大さを知れば知る程、自らの小ささがわかります。そして王の夢を解き明かしてくださったのはまさに神ご自身でした。この神の前で、神のみわざを自分の功績であるかのように語ることなど、ダニエルにはとてもできないことだったのです。
 神を知れば知る程、私たちは必ず謙遜な者へと変えられます。真実な謙遜は神から与えられるのです。
 
【2】 秘密を明らかにされる神
 その上でダニエルは王の夢の秘密を明らかにしました。ダニエルのことばから秘密とは「終わりの日に起こること」「これから起こること」を表していることがわかります。
 王が見た夢は、一つの巨大な像についてでした。その像は、頭は純金、胸と両腕は銀、腹とももは青銅、すねと足は鉄で足の一部は粘土によってできていました。その像が一つの石によって粉々に砕かれ、その後その像を打った石は大きく山となって全土をおおったのです。
 純金の頭はネブカドネツァルとその王国を表していました。その後、それより劣る国々が順番に興ります。そして四番目には鉄のように強い一つの国が興ります。しかし、最終的には「人手によらず山から切り出された一つの石」によってこれらの国々は滅ぼされてしまいます。そしてその国は永遠に続くのです。
 これは人間の歴史と神のみわざの両方を表す夢でした。この世にあって帝国の興亡は続きます。しかし最終的には「一つの石」として表される神の国がやって来て、すべてを滅ぼし尽くします。そしてこの国は永遠に続きます。
 この夢より神の永遠のご計画について私たちは示されます。地上の国はすべて一時的であり永遠ではありません。しかし神の国は永遠です。イエス・キリストによって始められた御国は今世界中に拡大し、やがて完成に至るのです。

【3】 神のくすしい導き
 ネブカドネツァル王はダニエルによってなされた夢の解き明かしに満足し、ダニエルを拝し、そしてダニエルの神こそは神々の中の神であることを告白しました。その上でダニエルをバビロンの長官へと任じ、ダニエルの三人の仲間たちを行政の長としました。
 これはダニエルと彼の仲間たちの人生成功物語なのでしょうか。その活躍によって王に認められ、ダニエルたちは上手に昇進し出世した、という話なのでしょうか。そうではありません。ダニエルたちは自分の力で出世街道を這い上がったのではありません。神が彼らを引き上げました。神の永遠のご計画の中で主から委ねられたつとめに励むよう彼らは導かれたのです。

【4】 むすび
 世界と歴史を支配され、ご自身の永遠のご計画の中でみわざをなされている偉大な神が、私たち一人ひとりに目を留めておられるとは何という驚きでしょうか。その主のご計画の中で私たち一人ひとりを召し出され、それぞれに役割を与えておられるのです。
 私たちに委ねられたつとめや働きは、どんなに小さく見えたとしても神のご計画を成し遂げるための尊い一部です。それは永遠に続いていく主のお働きの一端を構成しているのです。そのつとめを自分の自己実現のために用いることがあってはなりません。
 私たちが今信仰者として生かされているのは、何らかのつとめが与えられているからです。私たちは主のご計画の中で生かされましょう。私たちの小さな祈りと奉仕が、永遠に続いていく大切なつとめであることを自覚しましょう。そして、心を込めて主にお仕えしていこうではありませんか。