あなたの神、主を愛しなさい        マルコの福音書12章28~31節

2023年6月25日 飯能キリスト聖園教会 礼拝説教要約(若井和生師)

【1】 新会堂建設後の新しい目標
 教会によっては新会堂が完成した後、それまであった明確な目標を見失って、元気を失ってしまうことがあるようです。聖園教会の場合は教会の記録を見る限り、新会堂が完成した後も与えられた新会堂で礼拝できること、交わりができること、伝道ができることを喜びながら活発な活動がなされていたように見えます。新会堂を建て上げること以上に、自らの信仰を建て上げることを大切にしてきたからではないでしょうか。それでも牧師の小林鏡子先生は、新会堂完成後の教会の次のビジョンを祈り求めていたように思います。
 新会堂完成の4年後、1997年の信徒総会の時、教会の目標聖句として掲げられたのがマルコの福音書12章29~30節のみことばでした。「イスラエルよ、聞け、われらの神である主は、唯一の主である。心を尽くし、思いを尽くし、知性を尽くし、力を尽くして、あなたの神である主を愛せよ。」 
 この頃の聖園教会は開拓時代を終え、自立を成し遂げていました。自立した教会に求められたこと、それは今まで神に豊かに愛されてきた教会が、神を愛する教会となること。自立とは親から離れていくことではなく、親と親しく語り合える関係に表されていくことを教えられます。

【2】 神を愛する
 「すべての中で、どれが第一の戒めですか」との律法学者の問いかけに対して、イエス様は「第一の戒めはこれです。…あなたの神、主を愛しなさい」と答えられました。神の戒めを守るとは、戒律をただ守ればいいということではありません。神を愛するということ。つまり神との愛の関係に生きること、それが私たちの信仰です。
 どうすれば私たちは神を愛することができるのでしょう? 私たちはイエス様が最初に「聞け、イスラエルよ。主は私たちの神。主は唯一である」と語っておられる点に注目したいと思います。神を愛する前に私たちが求められていること、それは神の御声を聞くこと、主は私たちの神であるのを知ること、その方は私たちの唯一の主であることを覚えること。つまり、与えられている神ご自身との関係を確認することが大事である、ということです。
 私たちの神はどのようなお方でしょうか。私たちにとっての唯一の主です。その方は私たちの神です。この方は私たちを、この方との特別な関係に招き入れてくださいました。そして、この方は私たちに語りかけています。神を愛するようにと、私たちの神に対する愛を神は私たちに求めておられるのです。
 まず神が私たちを愛してくださいました。イエス・キリストを私たちに下さり、私たちの罪を赦し、救いの道を開き、私たちを神ご自身の子どもとしてくださいました。 
 この方とこの方の愛を知った時、私たちはこの方を愛する者に変えられます。神の私たちに対する愛は、私たちのうちに神に対する愛を生み出します。私たちも主なる神を、心を尽くし、いのちを尽くし、知性を尽くし、力を尽くして愛していきたいと思います。 

【3】 隣人を愛する
 イエス様は続けて第二の戒めについても教えられました。それは「あなたの隣人を自分自身のように愛しなさい」です。私たちは私たちの隣人を自分自身のように愛することが求められています。
 ただし、これは第二の戒めです。第一の戒めがあって、第二の戒めがあるこの順番が大事です。第一の戒めを守ってこそ、私たちは第二の戒めを守ることができるからです。この順番を知らないために私たちは隣人をなかなか愛することができません。自分の愛のタンクが空っぽなので、愛することに疲れ果て、自己嫌悪に陥ってしまいます。
 もし私たちが隣人愛に生きたいと願うなら、私たちはまず神の下に来なければなりません。神にしっかりと受け入れていただき、赦していただき、満たしていただく必要があります。そして神を愛する者としていただきましょう。その時に私たちは隣人を自分自身のように、愛する者へと変えられていくのです。

【4】 むすび
 1997年の時点で私たちの教会は自立を意識していました。今はどうでしょう。私たちは変わらずに自立できているでしょうか。神に愛されることを要求するのではなく、私たちの自我を押し通すのでもなく、父なる神のみこころを知りながら、神と楽しく対話ができているでしょうか。信仰とは父なる神との親子関係であることを覚えたいと思います。
 神を愛するために、まずは聖書に向き合いましょう。聖書に示されている神を知りましょう。そのようにして神と向き合い、神と語り合いましょう。普段の人間関係でも、相手の本心がわかれば私たちは安心して心を開き、信頼関係を築くことができます。同じように神ご自身を知ることによって、私たちは神との信頼関係を築くことができるのです。
 そして神を賛美しましょう。賛美は私たちの神に対する愛の告白です。そのようにして私たちは私たちの神、主を愛し、そして互いに愛し合う者として成長していきたいと思います。