私の賛美はあなたからのもの          詩篇22篇21~27節

2022年5月22日 飯能キリスト聖園教会     礼拝説教要約(若井和生師)

【1】 あなたは私に答えてくださいました
 21節の2行目から22篇の最後までの内容はすべて賛美です。そこにはうめきや嘆きのことばは一つもありません。22篇の前半と比べると、大変大きな変化です。なぜダビデのうちにこのような賛美が生まれてきたのでしょうか。
 その理由は神様が、ダビデに答えてくださったからです。その前の場面でダビデは苦しみの中、ひたすら祈りました。「離れないでください」「早く助けに来てください」「救い出してください」「救ってください」と切に神様に求め続けました。そのダビデの祈りに神様は答えてくださったのです。
 おそらく状況は変わっていなかったと思われます。相変わらずダビデは苦しみの中に置かれていました。問題が取り除かれたわけではありませんでした。しかし、それでも、その中にあって神様はダビデの祈りに耳を傾け、答えてくださいました。
 どのように答えてくださったのでしょうか。神様はダビデの苦しみを蔑まず、いとわず、御顔を彼から隠すことなく、助けを叫び求めたとき、聞いてくださいました(24)。ダビデが一番惨めだった時も主はダビデの味方であり、ダビデの心の叫びを受けとめてくださったのです。ダビデは最初、神様に見捨てられたと思いましたが、そうではありませんでした。ダビデが叫んだ時に、神様は答えてくださいました。それが嬉しくて、ダビデの口に賛美が生まれてきたのです。
 苦しみのうちに主を求める時、主は答えてくださいます(詩篇120の1)。私たちの心からの賛美は苦しみの外からではなく、苦しみの中から生まれてくることを覚えたいと思います。

【2】 会衆の中での私の賛美
 喜びに満たされたダビデは次に、神様の素晴らしさを兄弟たちに語り告げました(22)。喜びがあまりに大きくて、自分の中だけでは収めきれなかったことがわかります。そして兄弟たちとともに会衆の中での賛美を始めました。
 つまり、兄弟たちがダビデの呼びかけに応じた、ということです。彼らはダビデに共感する人々でした。ダビデと同じように、神様の素晴らしさ、祈りが答えられる嬉しさを知っている人たちだったのです。ですから彼らはすぐにダビデと一緒に賛美することができました。クリスチャンの交わりの素晴らしさが、ここに表されています。
 交わりの恵みを得てダビデの喜びはさらに増幅されたようです。ダビデは次に、賛美の輪にまだ加わっていな人々にも呼びかけ始めました。「主を恐れる人々よ、主を賛美せよ。ヤコブのすべての裔よ、主をあがめよ(23)。」 神様の素晴らしさを味わったダビデが、さらにその素晴らしさを多くの人々と共有しようとしています。賛美の輪が拡げられていく様子が示されています。
 そして「大いなる会衆の中での私の賛美は、あなたからのものです」とダビデは告白しました。ダビデにとって神様とは「あなた」と呼びかけることのできる方でした。親しく語り合うことのできる関係に生かされていることがわかります。
 賛美とは自分の中でつくりだすものではありません。神様から与えられるものです。神様に信頼し、神様からの答えをいただき、神様との親しい関係に生かされていることを経験する中で、おのずと生まれてくるものです。さらに主から与えられた兄弟姉妹との交わりの中で私たちの賛美は豊かにされていきます。

【3】 世界中の人々への呼びかけ
 ダビデの賛美は祈りに変えられました。「どうか貧しい人々が食べて満ち足り、主を求める人々が主を賛美しますように(26)。」 ダビデも貧しい人々の一人でした(24)。しかし貧しかったダビデは神様によって満たされるという経験を与えられました。そんなダビデなので、貧しい人々に対して共感を覚えることができました。自分が与えられたような恵みを、他の人々にも体験してほしいと願っていることがわかります。
 さらにダビデの祈りは地の果てのすべての者が主に帰ってくるように、世界中のあらゆる人々が神様の御前にひれ伏すように、との祈りにまで発展していきます(27)。賛美が伝道の力になっていることがわかります。神様の素晴らしさを知っている人は、この素晴らしさを他の人にも知ってほしいと願います。私たちは心からの賛美を通して、神様の素晴らしさを人々に伝えることができるのです。

【4】 むすび
 今日の全体の内容を振り返って、 主が答えてくださったことの喜びが、いかに大きいかがわかります。ダビデは詩篇16の2で、このように告白しています。「あなたこそ、私の主。私の幸いは、あなたのほかにはありません。」 ダビデにとっての幸せは、神様以外にはありませんでした。そう言い切れるくらい、神様を知っていること、この方との関係に生かされていることが、ダビデにとっては大きな喜びだったのです。
 心からの賛美はどんな状況の中からも生まれてきます。悩み・苦しみの時にも賛美が失われることはありません。なぜなら、神様はその時も私たちとともにいて、私たちの祈りを聞き遂げ、私たちに答えてくださるからです。