幸いの保証人             詩篇119篇121~128節

2022年10月9日 飯能キリスト聖園教会     礼拝説教要約(若井和生師)

 詩篇の著者は神様に向かい、「あなたのしもべの幸いの保証人となってください」と声を上げました(122)。神様は私たちの「幸いの保証人」となってくださる方であることがわかります。ここで語られる「幸い」とは、どのような幸いなのでしょうか。また神様は、どのようにしてこの幸いを保障してくださるのでしょうか。

【1】 「あなたのしもべ」として生きる幸い
 この時の詩篇の著者は、高ぶる者による虐げに苦しめられていました(121、122)。「あなたのしもべの幸いの保証人となってください」との彼の祈りは、このような虐げの中から発せられた祈りでした。自らの人格と存在を否定されてしまうような苦しみの中にあっても、主がともにいてくださることを求める祈りです。
 ここで彼は彼自身のことを「あなたのしもべ」と呼んでいます。そしてこの段落の中で彼は繰り返し、自分が主のしもべであることを告白しています(124、125)。彼は主なる神様との関係の中で、しもべとして生かされていました。これが彼の幸いでした。この幸いが虐げられる苦しみの中にあっても、決して失われないように保障してください、と彼はここで祈っているのです。
 神様はこの幸いをどのようにして保障してくださるのでしょうか。

【2】 恵みによって取り扱う
 第一に、神様は私たちを恵みによって取り扱ってくださいます。詩篇の著者は、神の救いと神の義のみことばを切望しています(123)。救いを求め、同時に救いのためには神の義のみことばが必要であることを理解しています。
 「義のみことば」とは、彼自身の心の内側の罪を示すことば、そして、それによって神様との関係を正すことばのことです。普通私たちは自らの罪が明らかになることを好みません。罪のために歪んでしまっている自分を受け入れることができず、罪人である自分を認めることができないのです。それゆえに恵みに向かっても、心を開くことができません。
 ところが、この詩篇の著者は神の義のみことばを求めています。その先に神の恵みが用意されていることを彼は知っているからです。それゆえに「あなたの恵みによって、あなたのしもべを取り扱ってください」と祈ることができました(124)。
 主イエス様との関係が深まっていくにつれて、私たちも安心して心を開くことができます。そして主の恵みによる取り扱いを受け、平安を得るのです。

【3】 神のさとしを悟らせてくださる
 第二に、神様はみことばを私たちに悟らせてくださいます。しもべの特徴は、主人の語られることばをいつも待っている、ということです。しもべは主人からいつ何を語られてもよいように、従う準備をして待っています。
 ところが彼には問題がありました。主人の語られることばの意味、そして、そこに込められている主人の心を十分に理解できない、という問題です。そこで彼は「私にあなたのおきてを教えてください(124)」「私に悟らせてください(125)」と祈りました。その結果、主が彼にさとしを知らせてくださることがわかります。
 私たちも実は自分の力でみことばを理解することができません。罪のために歪んでいる私たちは、正しくみこころを理解できず、自分勝手な解釈をしてしまいやすいのです。そのような私たちに神様はさとしを与え、みことばによって私たちを導いてくださいます。

【4】 神のみわざがなされる
 第三に、神様は私たちのためにみわざをなされます。「今こそ主がことをなさる時です。彼らはあなたのみおしえを破りました(126)」。高ぶる者たちが神様のみおしえを破ったその姿を見た時、詩篇の著者は今こそ主がことをなさる時であると思いました。そしてそのように神様に大胆に訴えていることがわかります。神様は必ずみわざを行われること、正しいさばきをなされることを彼は知っていたのです。
 神様は私たちの心に平安を与えてくださるだけではなく、実際の歩みの中でみわざをなされます。重苦しい現実の中で、勝利を与えてくださいます。解決の道を具体的に開いてくださいます。私たちもそのような主のみわざを求める者でありたいと思います。

【5】 むすび
 このように神様は恵み、みことば、みわざによって私たちの幸いを保障される方です。そのような恵みを受けて詩篇の著者は「それゆえ、私はあなたの仰せを愛します(127)」「それゆえ、私は…戒めにしたがってまっすぐに歩みます(128)」との力強い告白に導かれました。みことばに対する信頼がさらに深まり、主である神様との関係にますます生かされていることがわかります。
 私たちは神様の前で「あなたのしもべ」でしょうか。主のしもべとしての自覚をもち、主のしもべとして生きているでしょうか。私たちの主である神様を覚え、この方に、心から仕えていきましょう。