ふさわしい助け手            創世記2章18~25節

2021年10月24日 飯能キリスト聖園教会 礼拝説教要約(若井和生師)

【1】 神のご計画の中にある結婚
 聖書の中で結婚について教えられている箇所はいくつかありますが、その中でも大事だと思われるのが創世記2章の記事。最初の人アダムに神様がエバを用意して下さった場面です。つまり結婚は、神様の創造のみわざの中にあって重要な位置をしめていることがわかります。
 創世記1章で、創造主なる神様は天地万物を創造されました。その創造のみわざのクライマックスとして、人を造られました。さらに神様は人に「生めよ。増えよ。地に満ちよ。地を従えよ。海の魚、空の鳥、地の上を這うすべての生き物を支配せよ(1の28)」と命じられ、人に大切なつとめを与えられました。それは神様が創造された世界を人が管理し、ふさわしい方向へと発展させるというつとめです。つまり、聖書の第1ページ目において、人間のこの世に存在する意味と目的について、教えられていることがわかります。
 私たちは何となく、偶然のように、意味もなくこの世に存在しているのではありません。創造主なる神様が私たち一人ひとりを造られ、私たちのうちにいのちを吹き込まれ、この地上に置かれました。
 さらに私たちは何となく、目的もなく、目標もなくこの世に存在しているのでもありません。創造主なる神様が私たち一人ひとりに、生きる上でのつとめを与えられました。それは私たちが神様の目的に添って、生きるというつとめです。
 人間によって造られた時計は、人間に時を指し示すという目的のために存在しています。つまり造り主のために存在しています。その目的を失ったら、存在の意味がありません。同じように神様によって造られた私たちも、神様の目的のために存在しているのです。
 そしてこの創造の秩序の中にあって、神様の目的を果たすために、「結婚」という制度が神様によって定められたことがわかります。よって結婚とは結婚する二人以上に、神様にとって大事なことです。そして神様は創造の始めから、家庭を創造し、家庭の祝福を願っておられることがわかります。家庭をまず築き、家庭を土台とした社会を築き上げ、その上で、全世界に祝福をもたらそうとしておられることがわかるのです。

【2】 ふさわしい助け手
 そのような神様のご計画の中で、夫にはどのようなつとめが与えられているのでしょうか。妻にはどのようなつとめが与えられているのでしょうか。

「人がひとりでいるのは良くない。わたしは人のために、ふさわしい助け手を造ろう。(18)」

 神様は最初に男アダムを造り、彼を地上に置き、彼に地上での働きを委ねた後、「人がひとりでいるのは良くない」とお語りになりました。人間は一人では決して完結せず、必ず他者を必要とする存在として造られている、ということです。
 人はエデンの園で、あらゆる野の獣、空の鳥などの神様の被造物に名前を付ける作業に取り組みました。人がそれを呼ぶと、何であれ、それがその生き物の名前となりました。そのような光景を神様もジッと見ておられたことがわかります。ところがその過程で人は、自分の限界や欠けを意識するようになります。そして、自分にはふさわしい助け手が必要であることを自覚するようになりました。
 そこで神様は深い眠りを人に下さり、彼のあばら骨の一つを取り、女を造って下さり、人と出会わせてくださいました。つまりアダムにとってエバは「ふさわしい助け手」として創造されたことがわかります。
 「ふさわしい助け手」ということばを聞いて、女性が男性の従属的位置に置かれていると感じる人がいますが、決してそうではありません。「助け手」と訳されている「エゼル」というヘブル語は、聖書の中で「神の助け」を表すことばです。つまり夫にとっての妻とは、神の助けのような存在なのです。
 アダムがエバと最初に対面した時、アダムは言いました。「これこそ、ついに私の骨からの骨、私の肉からの肉。これを女と名づけよう。男から取られたのだから」。これはふさわしい助け手を与えられた時のアダムの感動と歓喜のことばです。このことばが聖書の中で最初に記される人間のことばです。アダムとエバは、そして夫と妻は、互いを喜び合い、互いを補い合いながら、与えられたつとめに共に励むために、神によって引き合わされた二人なのです。

【3】 結び
 夫は妻を神様が備えられた「ふさわしい助け手」として覚え、妻を尊敬し、妻を愛さなければなりません。妻は夫の「ふさわしい助け手」としての自分を覚え、夫を尊敬し、夫に仕えなければなりません。そのようにして二人は愛し合い、家庭を築き、神の創造の目的を果たすのです。
 家庭の祝福は夫と妻がこの自覚を持ち続け、互いに愛し合っているかどうかにかかっています。夫と妻の関係が家庭の土台であり、それが社会の土台となります。この土台が見失われ破壊される時、家庭の祝福が失われ、社会の基盤が壊れます。神様の創造の秩序は台無しになってしまうのです。夫は夫としての、妻は妻としての神様から与えられたつとめを忠実に果たしてまいりましょう。