今日あなたは、主の民となった        申命記27章9~10節

2023年4月30日 飯能キリスト聖園教会 礼拝説教要約(若井和生師)

「イスラエルよ、静まって聞きなさい。今日あなたは、あなたの神、主の民となった。あなたの神、主の御声に聞き従い、私が今日あなたに命じる主の命令と掟を行いなさい。」      

【1】 今日
 これは今年度の聖園教会の目標聖句として、私たちに与えられたみことばです。このみことばを読んで気づかされる第一のことは「今日」ということばが二回繰り返されて、協調されていることです。この「今日」ということばは実は、申命記の中で何度も繰り返されることばです。この時のイスラエルの民にとって、「今日」という時がとても大事な時だったことがわかります。それは一体どのような「今日」だったのでしょうか。
 それは40年の荒野での旅が終わろうとしている「今日」、そして約束の地に向かって新しい歩みを始めようとしている「今日」です。さらに、モーセからヨシュアにリーダーシップが継承される「今日」であり、とりわけモーセにとっては自らの人生を閉じようとする「今日」でもありました。過去に振り返り、未来に向かって歩み始める大切な節目の時を、イスラエルの民はこの時、過ごしていたのです。
 飯能キリスト聖園教会は今年、創立60周年、新会堂建献堂30周年の節目の年を迎えています。私たちも過去に振り返り、未来に向けて出発する大切な時を過ごしています。この大切な「今日」に語られているみことばに、私たちも耳を傾けていきたいと思います。

【2】 静まって聞きなさい
 イスラエルにまず主が語られたのは、「静まって聞きなさい」ということばでした。イスラエルはその時にヨルダン川の東側に位置する二人のアモリ人の王との戦いに勝利して、その獲得した土地をルベン族、ガド族、マナセ半部族に分割して与えていました。すでに新しい歩みが始まっていたのです。
 このまま勢いに乗って前進してもよかったように思いますが、しかし、そこで民が求められたことは、みことばをよく聞くこと、そのために静まることでした。
 なぜ聞くことが最初に求められたのでしょうか。それは、信仰は聞くことから始まるからです。イスラエルの失敗の多くは、よく聞きもしないで動き始めた点にありました。みことばをよく聞かずに動き始める時に、その先に私たちは信仰を働かせることができません。自分の思いに支配され、主のみわざを行うことができないのです。

【3】 あなたは、あなたの神、主の民となった
 二番目に主が語られたことは何だったでしょうか。「今日あなたは、あなたの神、主の民となった」ということばでした。これは神がイスラエルの民と契約を更新してくださったことばです。
 かつて神はシナイ山のふもとで、イスラエルの民と契約を結んでくださいました。「今、もしあなたがたが確かにわたしの声に聞き従い、わたしの契約を守るなら、あなたがたはあらゆる民族の中にあって、わたしの宝となる。(出エジプト19の5)」 あれはもう40年近くも前のことです。
 あの契約成立後の40年、イスラエルの民は神の声に聞き従い、契約を守ったのでしょうか。そうではありませんでした。不信仰の連続でした。モーセやアロンに反逆したり、金の子牛像を造って偶像礼拝を始めたり、モアブ人の女たちと淫らな関係になってしまったり、約束の地を前に不信仰を貫いたり・・・その度に神の怒りに触れ、多くの民がいのちを落とし、さらに40年もの荒野での生活を強いられることになってしまったのです。
 しかし、それでも神のイスラエルに対する愛は変わることはありませんでした。彼らの愚かさと不信仰にも関わらず、神はイスラエルと契約を更新してくださいました。私たちの愚かさと罪深さのゆえに、私たちに注がれている神の愛を、私たちが疑ってしまうことがないように、よく注意しましょう。

【4】 主の命令と掟を行いなさい
 主が三番目に語られたことは何だったでしょうか。「あなたの神、主の御声に聞き従い・・・主の命令と掟を行いなさい」ということばでした。みことばを聞いたら、その先には行いが求められています。
 神の愛の宣言があって、人の側の従順が続いていくその順番が大事です。私たちの神に対する従順があって、神は私たちを愛してくださるのではありません。まず神が私たちを愛してくださいました。その愛を受けて、私たちは神に応答します。その神の愛に応えて私たちはみことばに従い、主の命令を行うのです。
 私たちに語られたみことばに私たちが応答して従う時、そこに主のみわざがなされていきます。飯能キリスト聖園教会の今までの60年の歩みに、いつもみことばに対する従順がありました。信仰がそこにたえずありました。その恵みを引き継いで、私たちはこれからも信仰によって歩んでいきたいと思います。