2020年12月６日 飯能キリスト聖園教会 礼拝説教要約（若井和生師）
【１】 慰め
苦しみの渦中にある今年の私たちのクリスマスに、必要なメッセージは慰めのメッセージではないかと思いました。自力では立ち上がることもできないくらい絶望している時、人に必要なのは励ましではなく慰めです。ただ、人を慰めることくらい私たちにとって難しいことはありません。苦しんでいる人と同じ立場に立つことが、私たちにはとても難しいからです。
しかしイザヤ書40章は語ります。「慰めよ、慰めよ、わたしの民を。あなたがたの神は仰せられる。」（１） このことばより、神が私たちの慰めを願っておられること、神の慰めがあることを教えられます。
「エルサレムに優しく語りかけよ。これに呼びかけよ。」（２） 神は私たちに優しく語りかけて下さる方です。さらに呼びかけて下さる方です。羊飼いが羊の名を呼んで連れ出すように（ヨハネ10の３）、主は私たちの名前を呼んで、呼びかけて下さいます。この方の優しい声が聞こえたら、私たちはもうそれだけで、慰められます。私たち一人ひとりのことを神が覚えておられるからです。
【２】 赦し
メッセージの内容にも、神の慰めが満ちています。「その苦役は終わる」。エルサレムと南王国ユダはやがて滅ぼされて、バビロン捕囚となることが当時、警告されていました。その苦役がやがては終わることが、ここで示されています。ただし、政治的解放や状況の変化によってだけ、イスラエルは慰められるわけではありません。「その咎は償われている。」 その時には、その苦難の原因になっている彼らの咎が償われることがわかります。
預言者イザヤはイザヤ書前半の39章までに、イスラエルの上に下される神のさばきを繰り返し警告してきました。民の罪と不従順のためです。そしてその警告通りにイスラエルは滅ぼされ、バビロンに捕囚として連れられていくことになります。彼らは自分の罪の結果として苦しまなければなりませんでした。ちっとも慰めを感じないメッセージです。
しかし、やがて解放の日がやって来ます。しかも、その時には彼らの咎が償われます。さらに「すべての罪に変えて、二倍のものを主の手から受けている」と約束されました。彼らの罪を、神が用意して下さったいけにえの犠牲によって帳消しにされた恵みがここに表されています。神はイスラエルの民を決して見捨てておられなかったのです。
神の下さる慰めは私たちの悲しみの先にある慰めです。イエス・キリストも「悲しむ者は幸いです。その人たちは慰められるからです」（マタイ５の４）と教えてくださいました。私たちは自らの罪のゆえに苦しまなければなりません。しかし、そんな自分の罪を知らされ、その罪を悲しんだ者だけが、主の慰めを知ることができます。神は罪人である私たちの罪を赦し、慰めて下さるのです。
【３】 主の道を用意せよ
そんな慰めを私たちが経験するために、私たちがするべきことは何でしょうか。それは主の道を用意することです（４）。慰め主なる神が、向こうから私たちのところまで来て下さることがわかります。荒野のような私たちの人生の現実の中に、向こうから来られます。そのために私たちは、大路をまっすぐにする必要があります。これはこの方を受け入れる準備をするということです。
この方がその道を通られたらとどうなるのでしょうか。すべての谷は引き上げられ、すべての山や丘は低くされ、曲がったところはまっすぐになり、険しい地は平らになります。そのようにしてでこぼこの道は平らにされ、神の栄光が現わされるのです。
この世は険しい荒野です。その中にあって私たちの心も生活も荒れ果ててしまいます。私たちの中に誰にも見せられないような暗い谷があります。頑なで崩されなければならない山や丘があります。素直になれない曲がった部分があります。そしてすぐに躓いてしまう険しいでこぼこの地があります。
それらの道はこの方が通ると全部平らになります。荒れ果てた私たちの心、水のない渇いた心、歪んで頑なになった私たちの心に慰めがもたらされ、平安に変えられるのです。
【４】 主の栄光を見る
このようにして主の栄光が現わされると、すべての肉なる者が、ともにこれを見ます（５）。慰め主なる神の到来とそれによってもたらされた神の栄光を、すべての人が見ることになると預言されています。イエス・キリストの到来によってこの預言は成就されました。
今の世の中のどこに慰めがあるでしょうか。どこに希望があるのでしょうか。私たちのもとに来られたキリストの下に、私たちの慰めがあります。この方が私たちの咎を償ってくださいました。そのために私たちは神からの祝福を受けました。この方の栄光を私たちもほめたたえたいと思います。
【祈り】
神の慰めの声を聞くことができますように。主の慰めを知ることができますように。慰め主なるイエス・キリストを受け入れることができますように。