母の胎にあるときから  ガラテヤ人への手紙1章13~17節

2020年10月25日 飯能キリスト聖園教会 礼拝説教要約(若井和生師)

 先週もたれました吉崎兄の受洗式に感謝します。私たちの下に新しい信仰の家族が加えられたことが感謝ですし、また福音が人を変えていく姿にも、私たちはとても励まされます。
 聖書の中ではパウロも大きく変えられました。かつてのキリスト教会への大迫害者だった彼が、キリストを伝える大伝道者に変わりました。自分自身のために生きてきた人が、神のために生きる人へと180度変えられたのです。キリストとの出会いが人を大きく変えることがわかります。
結果も大事ですが、結果に至る過程はもっと大事です。パウロはなぜキリストと出会って変わったのでしょうか。キリストとの出会いによってもたらされた何が、彼を変えていったのでしょうか。今日はパウロを変えた福音の中身に、私たちは注目していこうと思います。

【1】 神の選び
 パウロがキリストと出会い、キリストによる救いを経験したということは、つまり、父なる神様との関係が回復したということを意味しています。それまで父なる神様に背を向けていたパウロが、キリストを信じることによって、神と和解し、神と共に生きる者と変えられたのです。そのことを通して見えてきたことがありました。それは神がパウロを選び出し、召してくださったという事実です。15節でパウロは「母の胎にあるときから私を選び出し、恵みをもって召してくださった神」と語っています。キリストとの出会いを通して、パウロは神の選びと召しを確信するに至ったことがわかります。
 始めに神はパウロを選び出して下さいました。「選び出す」と訳されていることばは、何か特別な目的のために取り分けられることを表しています。パウロは神様によって選び出されました。しかも、この箇所においてはパウロが選ばれたその時が強調されていることがわかります。パウロはここで「母の胎にあるときから神は私を選び出した」と語っていて、神の選びがパウロの誕生以前から始まっていたことがわかります。
 預言者エレミヤも神様から「母の胎を出る前からあなたを国々への預言者と定めていた」と告げられました(エレミヤ1の5)。パウロもエレミヤも、生まれる前から神の選びが始まっていたことがわかります。そしてパウロはエペソ1の4にて「神は、世界の基が据えられる前から、この方にあって私たちを選び…」と語っています。私たちにとっては気が遠くなってしまうような話なのですが、天地創造の以前から私たちは神に選ばれていたと、聖書は主張するのです。
 私たちは生まれた後に経験するいろんなことに振り回されたり、支配されたり、影響されたりします。しかし、私たちが生まれる前から私たちの人生は神の御手の中にあったとしたら、どうなるでしょうか。それは私たちにとって確かな人生の土台となります。私たちに対する神の選びに、私たちは感謝したいと思います。

【2】 神の召し
 次に神はパウロを召して下さいました。「召す」と訳されていることばは「呼び出す」という意味のことばです。先程の神の選びが神の御手のわざであるとするならば、神の召しは神の声のわざです。先に選ばれていたパウロは、時かなってイエス・キリストと出会い、神に呼び出されました。
 ここでは召し出された時の方法が強調されています。パウロは神に「恵みをもって」召されました。「恵みをもって」とは召し出される価値の全くないものが、神の恵みのゆえに無条件に呼び出されたという意味です。キリスト教会の大迫害者だったパウロは、使徒として選ばれるのに全く相応しくない人物でした。しかし、そんな彼がただ神の恵みのゆえに神様から呼び出され使徒とされたのです。
 私たちも人生のある時にイエス・キリストに出会って召されました。恵みをもって召されました。召される価値のない私たちを、神は恵みをもって召されたということです。神はこの世の愚かな者、弱い者、取るに足りない者、見下されている者、無に等しい者を選ばれました(Ⅰコリント1の26~28)。それは知恵ある者、強い者を恥じ入らせるためです。神様はそのような無に等しい者を通して神の偉大さを表されます。そのために私たちは神様から呼び出されたのです。

【3】 結び
 この選びと召しの確信がはっきりしてくると私たちの人生は安定します。この確信が、私たちの人生の土台となるからです。私たちの問題は人生の確かな土台がない、というところにあります。土台が形成されていないために、この世の変化や人の言動に振り回されやすく、自信をすぐに失ってしまうのです。
 しかし私たちの神様は、私たちが生まれる前から、私たちを愛しておられました。生まれた後もずっと愛し続けて下さいました。そして時かなって私たちを呼び出し、ご自分の子として下さいました。この方がこれからも私たちを導いて下さいます。「私は、自分に与えられた神の恵みによって、賢い建築家のように土台を据えました。…その土台とはイエス・キリストです。」(Ⅰコリント3の10~11) 私たちの救い主イエス・キリストを信じ受け入れ、是非、この土台を自らの内に築き上げていきましょう。

【祈り】神との関係の中で、確かな人生の土台を築き上げることができるように。